海外旅行での楽しみは
美術館巡りは、海外旅行の重要な目的の一つです。
それに、美術鑑賞に言葉は必要ありません(必要なのは体力だけです)。
また、美術館や博物館の多くは大都市にありますから、全く初めての海外旅行でも、簡単に行けるのです。
ヨーロッパの主要都市は、美術館だけを目的にして訪れても、十分に価値がります。
パリ、ローマ、ロンドン、ニューヨーク、フィレンツェ、ウイーンなどでは、できれば美術館巡りに丸1日をあてたいものです。
それでも、不十分と思うでしょう。
ルーブルやオルセーには、日本の美術館なら目玉になる作品がごろごろしています。
教科書に載っていた作品に出会って感激していると、次から次へと有名な作品が現われて、そのうち嫌になります。
「少しくらい日本に分けてくれたらよいのに」と、いつも感じます。
ヨーロッパで優れた美術館を作れたのは、歴史の賜物という側面ももちろんあります。
しかし、歴史のないアメリカにも優れた美術館があるのです。
ロサンゼルスのような新興都市(の近く)にもあります(ポール・ゲッティ美術館)。
「世界に誇れる大都市」の条件は、「1日中過ごしても時間が足りないと感じる美術館が存在すること」であると、旅行家の大木一雄さんはおっしゃっています。
東京も大阪も、残念ながらこの条件を満たしていません。
美術館が建設できるかどうかは、経済力と社会制度によります。
日本は、バブル期に世界中から美術品を買い漁りましたが、上記の条件を満たす美術館を建設できなかったのです。
経済力はあっても、社会制度がそれを可能としなかったのです。
「気が向いたら簡単に見られる場所に優れた美術作品があるか否か」は、国民の美意識に決定的な影響を与えるに違いないでしょう。
都市景観を決めるのは、そのような美意識です。
何時間も飛行機に乗らないとそうした作品に接することができない日本人が、生活環境を美しいものに
してゆくことができるでしょうか?
私は、絶望的な気分にならざるをえません。
ところで、美術館巡りは、個人旅行だからこそ、自由気ままにできます。
団体の一員では、好きな作品に出会っても、立ち止まれません。
せき立てられては、フラストレーションが増すだけでしょう。